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最高裁での弁論後、事故で亡くなった和田樹生さんの父善光さん(左)と母真理さんが記者会見した=2024年12月13日、東京都内
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 車で男子中学生をはねた後、飲酒発覚を免れるために数分間、現場を離れた被告。その行為が「ひき逃げ」にあたるか、上告審で争われ、13日、最高裁第二小法廷(岡村和美裁判長)で弁論が開かれた。検察側は逆転無罪とした二審・東京高裁の破棄を求め、弁護側は無罪を主張した。

 事故は2015年3月23日午後10時7分ごろ、長野県佐久市で起きた。中学3年の和田樹生さん(当時15)が横断歩道ではねられ、衝突地点から44・6メートル飛ばされた。約1時間後、搬送先の病院で死亡した。

 道路交通法違反(ひき逃げ)の罪に問われている池田忠正被告(52)は事故後、いったん衝突地点に戻り付近で被害者を捜した後、見つけることができないまま、近くのコンビニエンスストアに行った。そこで口臭防止用品を買い、服用。直前に飲酒していたことが発覚するのを免れるためだったという。

被告「人をはねた。やばい」

 被告が被害者を捜すのをやめていた時間帯のうち、コンビニに行き、口臭防止用品を服用するまでにかかった時間は1分余り。その行為が救護義務違反にあたるかが争点になっている。

 弁論で検察側は、被告はコンビニに向かう途中、友人に電話で「人をはねた。やばい」と話していながら、警察や消防に通報しなかったと指摘。一刻を争う状況と認識しながら、飲酒発覚を免れるための行為に一定時間を費やした時点で、罪が成立すると主張した。

 弁護側は、事故後直ちに被害者を捜し、コンビニ退店後に現場に戻ってから救護措置を取ったことを「全体的に考察」して無罪とした高裁判決に誤りはないと反論した。また、この事故を巡っては15年に自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)で執行猶予付きの有罪判決を受けており、一つの事件で二重に処罰されない「一事不再理」の原則に反すると改めて主張した。

「無罪判決の破棄」求める遺族

 裁判を傍聴した樹生さんの父善光さん(54)と母真理さん(52)は弁論後、東京都内で記者会見を開いた。

 善光さんは「被告の行動は自…

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